[ イベントレポート ]

こいまろカフェと京都芸術デザイン専門学校 共同企画 「急須&湯呑デザイン」の開発プロジェクトが始動しました! 2014年12月19日

こいまろカフェと京都芸術デザイン専門学校の様子

宇治田原製茶場が一年半にわたり日本全国の小中学校をまわって、子どもたちに急須茶の魅力を伝えてきた「茶育活動」。失われつつある急須でお茶を飲む習慣や文化を守るべく、宇治田原製茶場ではこのたび若い世代の人に急須茶に関心をもってもらうために、新しい茶器のデザイン開発プロジェクトを立ち上げました。そしてこの難しい課題にいっしょに取り組んでくれたのが、京都芸術デザイン専門学校のインテリアデザインコースの皆さん。学生さんとのコラボレーションによる、若い感性で作られる新しい急須茶の可能性を探る取り組みをご紹介します。

「急須茶のことを、ちゃんと知ろう!」とまずは「茶育教室」を実施しました。

 2014年12月19日、京都市左京区北白川の京都芸術デザイン専門学校で、茶育教室および産学連携プロジェクト急須づくりのオリエンテーションが実施されました。京都芸術デザイン専門学校の冨永良子(とみながりょうこ)先生と宇治田原製茶場の西山日本茶アドバイザーによるあいさつの後、こいまろが登場すると会場には学生たちの「知ってる!」や「かわいい!」といった歓声が飛び交いました。

茶育授業

 茶育教室ではまず、湯温を低温と高温で淹れた場合での玉露の飲み比べや、実際に学生自らこいまろ茶を淹れて飲むなどの体験の後、お茶に関する歴史講座、最後に西山日本茶アドバイザーによるマナー講座が実施されました。「右手で持ち、右からお出しし、お客様の右手前に置く。右、右、右と覚えてください」という西山日本茶アドバイザーの解説に「お茶を出すのにも作法があるなんて知らなかった!」という驚きや「実家に帰ったら試してみよう」といった声も聞かれるなど、急須で淹れるお茶の深い味わいや、その意味のひとつひとつをしっかり感じ取っている様子でした。

授業内容

  • 開会のあいさつ
    冨永良子先生と
    西山日本茶アドバイザーによる
    開会のあいさつ。
    10:00
  • お茶の飲み比べ体験
    高温と低温の湯温で淹れ
    それぞれ甘みや渋みの
    違いを体感。
    10:15
  • おもてなしマナー講座
    西山日本茶アドバイザーによる
    お茶の出し方などの
    マナー講座を実施。
    10:45
  • 急須づくりのオリエンテーション
    急須デザイン開発の
    オリエンテーションを実施。
    提案日は1月30日に。
    11:00
  • 閉会
    11:30

きれいな色!!

そして、いよいよ「急須&湯呑デザイン」のためのオリエンテーションが始まりました。

 ひと通り急須茶の歴史や魅力、味を体験したところで、いよいよ新しい急須のデザインに関するオリエンテーションが始まりました。いま自分で急須茶を淹れる体験をし、お茶の香りと味わいを体感したばかりというだけあって、学生の表情は真剣そのもの。「今日はじめて急須を使ったという若者たちではありますが、自ら急須のデザインを考えることによって、急須の使い方やその魅力を、若い方の新しい発想で創造していただければと思っています」。最後に西山日本茶アドバイザーは、期待を込めてそう語っていました。

オリエンテーション

茶育教室とオリエンテーションを終えて、これから新しい急須デザインづくりに取り組む学生さんたちに意気込みを語っていただきました。

実家で急須のお茶を飲んでいたので、使いやすさを意識した機能的なデザインにしたいです。あと「急須の中でお茶が回る」というお話があったので、視覚的にそれが見えるような急須はどうだろう?と考えています。

京都芸術デザイン専門学校 インテリアデザインコース 1年生 藤岡 ゆきな さん

いま進行中の別の課題で中国茶の店舗設計をやっていてお茶については勉強していました。将来は設計の道に進むつもりなので、今回は建築設計的な視点を活かしたプロダクトデザインに取り組みたいと思っています。

京都芸術デザイン専門学校 インテリアデザインコース 1年生 浜田 将人 さん

持ち手の角度や注ぎ口の形状など、すでに計算され尽くしたデザインになっていることがお話でわかったので、たとえば急須単体だけではなく湯呑との組み合わせのなかでデザインを考えるなど幅広い視点で考えたいです。

京都芸術デザイン専門学校 インテリアデザインコース 1年生 山田 愛実 さん

京都芸術デザイン専門学校の学生のみなさんの「急須&湯呑デザイン」は、
2015年1月30日に、各界を代表する3名の審査員へ
プレゼンテーションしていただき、優秀賞などを選出します。

審査員

八木 海峰氏
清水焼作家伝統工芸士 八木 海峰 氏
京都府立陶工職業訓練(現・京都府立陶工高等技術専門校)修了、初代加藤如水氏に師事。清水焼作家として国内外を問わずに活躍中。
北山 晃一 氏
プロダクトディレクター 北山 晃一 氏
大日本印刷株式会社包装事業部企画本部在籍。長年にわたり商品開発、マーケティング企画を手掛けてきた。
(公社)日本パッケージデザイン協会 会員
(一財)国際ユニヴァーサルデザイン協議会 会員
安井 徳昭
茶師 安井 徳昭
宇治田原製茶場の代表取締役社長にして茶師。お客様の声を取り入れ、ブレンドを重ねに重ねて完成させたこいまろ茶の生みの親でもある。

発表会の様子は、WEBサイトでも紹介します。

急須茶 対談

急須茶とデザインは、とても似ているところがあります。
機能と美しさのバランスを上手にとりながら
新しい時代の急須や湯呑をデザインしてほしいです。

対談の様子01 対談の様子02

西山今回、私たちがこの一年半の茶育活動で言い続けてきた「おもてなしの心」を伝えることと、若い学生さんの斬新なアイデアとが融合することによって、日本文化の継承になればと思い開催させていただきました。急須はこうでなくてはならないという常識を取っ払い、自由な発想でご提案いただくことで私たちも勉強させてほしいと思っているんです。

冨永ありがとうございます。じつは私たちの学校では「デザインとはなにか?」を学生に説明するとき、絵を描くことでもなければ形を作ることでもなくて「おもてなし」なんですよ、といつも話してきたんです。だから今回この話を伺ったときにはまさにピッタリだと思いました。わが校にはお茶室もありますし。

西山それはとても心強いですね。

冨永お湯を沸かして急須に入れる所作やお道具の美しさ、そして人と人との間をデザインするということはお茶の世界にぜんぶありますものね。

西山ただ、あんまりお作法にとらわれると堅苦しくなるので、今日はお茶を美味しく淹れる基本形を覚えていただいて、あとは自分流でいいと思います。デザインも一緒だと思うんですよ。真ん中の軸を決めてさえおけばあとは自由でいい。

冨永そうですね。とにかく急須で淹れるお茶は、淹れる人によっても、淹れ方によっても違う。そこがおもしろいんです。自分の味を見つけることが、自分のデザインにつながるような気がしています。

西山すごく楽しみにしていますよ。

冨永とにかく学生は急須を使うことはほとんどないので、まずはじっくり観察してみて、そして実際に使ってみてほしい。今回は特に口に入れるものを入れる器のデザインですから、味覚や触感、香りといった、まさに五感を使って感じたことをデザインしてほしいですね。

西山本日はありがとうございました。

全体写真
京都芸術デザイン専門学校外観
京都芸術デザイン専門学校
京都市左京区に位置し、併設校である京都造形芸術大学との連携を含めた、広範囲かつ実践的なカリキュラムが特徴のデザイン専門学校。コースはインテリアデザインのほかにビジュアルデザインコース、コミックイラストコースなど5コースからなり、日本全国から学生が集まり、近年は海外からの留学生も増加している。
住所:京都府京都市左京区北白川上終町3
Tel.:075-722-9231

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