[ 広がっています、急須茶生活。]
大学でデザインの勉強をしている平居紗季さんは、カメラ片手に京都の街を撮影したり、デザインという視点で街を見ているうち、自身のデザインに対する意識の変化に気づきました。「やっぱり京都は日本の伝統文化の中心地でもあるし、ロングライフデザインの宝庫ですからね」。流行を追いかけるより、時代を越えて長く愛されてきたものに関心が向きはじめたのだそうです。意識の変化は彼女の興味や嗜好に大きな影響をもたらしています。

「たとえば着物や帯のデザイン、和雑貨の色使い、古い商家の軒先で見かける意匠など。そういう和の色やかたちの美しさ、かわいらしさに気づかされました」。お茶もそのひとつ。急須でお茶を淹れるときの所作や茶器の美しさにどんどん惹かれていく自分に気づいたのだといいます。「発見でしたね。それからは家でも急須でお茶を淹れて飲むようになりましたし、自分で市にでかけてお気に入りの急須や器を探してくるようになりました」。

美術系の大学は課題も多く、彼女は毎日かなり忙しいスケジュールをこなしているのだとか。急須でお茶を淹れる時間をもつようになってリフレッシュでき、集中して取り組めるようにもなったといいます。
若い世代のなかには急須茶を通して日本の美を受け継いでいこうとする人が、すこしずつ増えて来ているのを感じます。