[ 広がっています、急須茶生活。]

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vol.9 田丸 みゆき さん(笹屋伊織 十代目女将)

京菓匠・笹屋伊織
1716年(享保元年)創業。京都御所はじめ市内の有名な寺社仏閣、茶道家元の御用達として名高い老舗の京菓匠。取締役にして十代目女将である田丸みゆきさんは、ほかにも京都御幸流華道教授、京都観光おもてなし大使としての顔を持ち、講演やコラムの執筆、さらにはテレビやラジオ、雑誌などのメディアにも多数出演されています。
※写真の湯呑は加賀の陶工・須田菁華によるもの。
住所:京都市下京区七条通大宮西入ル
花畑町86
Tel.:075-371-3333
営業時間:9:00~17:00
休:火曜日(但し祝日の場合は営業)
(定休日が20~22日の場合は営業)
七条大宮・本店は、
2015年2月6日 オープン

急須で淹れた美味しいお茶はお菓子の美味しさを引き立ててくれるんです。

 1716年(享保元年)創業の京菓匠・笹屋伊織といえばやはり円柱型のどら焼。じつは関西ではもともと「どら焼」といえば笹屋伊織のものを指し、一般に良く知られる円盤型のどら焼きのことは「三笠」と呼ばれていました。このお菓子の起源は160年ほど前、東寺のお坊さんの副食がわりにつくられていたのですが、弘法市(こうぼういち)のときだけ参拝客に出したことで一般にも売られるようになりました。

 「うちのどら焼はあっさりしているので、お茶の味がしっかり出ているほうがより美味しく召し上がっていただけると思います。でも、もともとどら焼は庶民的なお菓子ですので、お煎茶とか玉露じゃなく番茶でも美味しくいただけますよ」と語るのは十代目女将の田丸みゆきさん。「不思議なことに、どんなおいしいお菓子でもお茶が美味しくなければお菓子の味が台無しになります。逆にすごく美味しいお茶でもお菓子が美味しくなかったらこんどはお茶が台無しになる。両方のバランスが大事なんです」と話します。

 英国の有名ブランド、ウェッジウッドのものだという煎茶用の急須でお茶を淹れながら「かわいい食器があると気分も上がるし、お茶も淹れたくなりますよね」という田丸さん。急須や淹れ方にもこだわりがあるといいます。急須は中にかご網がついているタイプのものはあまり使わず、できるだけたっぷり茶葉を泳がせることができるものを選ぶのだそうです。また淹れ方についても、まず急須にお湯を入れて急須を温めてから注ぎ分けること。そして注ぐ際に急須のお尻がお客さまから見えないよう、自分のほうに向けて淹れるように気を配るのだとか。

 そんな田丸さんがいちばん好きなお茶の時間は、娘さんと楽しむお茶です。「娘が小さいころから家でお茶の淹れ方を教えてきたので、娘も気軽にお煎茶を淹れて飲むのですが、娘に「お茶飲む?」って聞くと「淹れてあげようか?」と返ってきます。やっぱり娘に淹れてもらうと嬉しいんですよね」と田丸さんはやさしく目を細めていました。

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