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京都の食 夏編
京都の食文化を、さまざまな角度から紹介します。

「美濃幸」
遊山野点の風流に
四季折々の美肴を味わう
京都市東山区祇園下河原八坂鳥居前
TEL (075)561-0328
営業時間:11:30〜14:30
17:00〜22:30(L.O.20:00)
定休日:不定休
八坂神社の南門から続く通りでは、観光客を乗せた人力車やガイドブックを手に散策する観光客がのんびり行き交う姿が目に映ります。そんな通りを南に進むとほどなく右手に「美濃幸」の看板が…。暖簾をくぐると、打ち水された石畳の細い路地がつづき、その奥には大正の初期に建てられたしっとりと落ち着いた数寄屋造りの建物がありました。
茶道具のお茶箱をお弁当に
京都の茶人からも愛される「美濃幸」は茶懐石料理を提供するお店です。夜は本格的な茶懐石のお料理を出されていますが、お昼の時間帯に気軽に茶懐石のエッセンスを楽しめるメニューがあると伺いました。野点の際に使うお茶道具一式を詰めたお茶箱をお弁当箱に見立てたという「茶箱弁当」です。
初夏の日差しが新緑に映え、きらきらとまぶしい中庭の見えるお部屋で茶箱弁当を注文。お部屋の掛け軸やお花をぼんやり眺めたり、お庭の池の端で亀が遊んでいるのに目を留めたりと、ゆったりと心地よい時間が流れます。
さあ、目の前にお弁当が。お茶箱の蓋を開けると、掛合(かけご)には、サーモン、鱧の子の煮凍り、枝豆、鮎の塩焼きが彩りも涼しげに盛り付けられてあります。さらに下段には、茶巾筒に向付(むこうづけ)の梅肉醤油と合わせる鱧の一枚落とし、棗(なつめ)にはおみそ汁が、振出(ふりだし)には冬瓜饅頭のお料理が入っていました。抹茶茶碗には、初夏の香りの新生姜めしと、茶箱のお道具一つひとつに、茶懐石の趣を盛り込んだ料理が合わせてありました。また強肴には京都の夏野菜である加茂茄子田楽、水物にはさっぱりとした味わいの美生柑(みしょうかん)ゼリーがそえられます。
今回の献立は京都の初夏のメニューですが、盛夏、晩夏と旬の食材の変化とともにお料理の内容にも季節感が取り入れられ、変化していくそうです。
写真
茶道の精神を隅々に。
日本のおもてなしの心と味わい。
茶道では、華美にならずものごとの「自然なありのまま」を大切にしているのだとか。
たとえば、生け花。茶室にしつらえる生け花は曲げたり折ったりせず、野にあるごとく生けます。茶懐石の料理も同じ精神です。その季節の恵みを素材に、その持ち味を最大に活かす調理をするのだそうです。華やかで珍しい料理ではありませんが、丁寧にひかれたお出汁、吟味された旬の食材、熟練された料理人の技が、訪れるお客様を満足させるのだなと感じます。それは料理だけにとどまらず、床の間の掛け軸や生け花のテーマにも、手入れの行き届いた中庭や、落ち着いたトーンで響く「いらっしゃいませ」の言葉にも表れているように思います。
「茶懐石と聞くと、まず決まり事が多くて堅苦しいイメージを持つ方もおられるかもしれません。ですが、そんな難しいことはないいんですよ。お料理を楽しくおいしく召し上がっていただくのが、なによりのお作法です。茶箱弁当は茶懐石の入門編のようなもの。どうぞお気軽にお越しください」と社長の吉田幸次郎さんはおっしゃいます。
「BAR ATLANTIS」
夕暮れの鴨川、床で涼をとりながら、
情熱のカクテルでロマンチックなひとときを。
京都市中京区四条先斗町上ル松本町161
TEL (075)241-1621
営業時間:18:00〜26:00(L.O.25:30)
床のみ18:00〜23:00
日曜日のみ25:00(L.O.24:30)まで
定休日:年中無休
http://www.atlantis-net.co.jp
夏の風物詩、鴨川の「床」。京都の人たちは昔から涼を求めて、鴨川べりに繰り出していました。「床」では京料理というイメージですが、おしゃれなバーが床をだしています。平成元年からバーとして営業している先斗町の「BAR ATLANTIS(アトランティス)」を訪ねました。
情熱の国、キューバの国民に愛されるカクテルと「床」
鴨川にかかる四条大橋の西詰め、交番の角を右(北に上がる)に入った通りが先斗町(ぽんとちょう)です。見逃してしまいそうな細い露地ですが、石畳の両側には和物の雑貨を扱うお店や飲食店が軒を並べています。夕暮れになると華やかな着物の姿の本物の舞妓さんに出会えることもあります。その先斗町の通りに面してあるのが「BAR ATLANTIS」です。
京都独特の狭い間口ではありますが、鰻の寝床のように奥に広い店内は、シックで落ち着いた雰囲気です。そして、バーカンウンターが店内だけでなく、床にも備えられています。目の前でカクテルが作られる様子を、風を感じるカウンターで、見ることができるなんてとても贅沢な気分です。
1杯のカクテルに込めたホスピタリティ
アトランティスの店長は、今年の秋に開催される「日本バーテンダー協会」主催の大会に京都代表として参加されるのだとか。制限時間のなかでオリジナルカクテルを作り、味、見た目、所作の美しさなどが審査される大会です。
「味、テクニックが求められるというのはもちろんですが、バーテンダーとして大切にしていることはもてなしの心だと思います。母親の料理を食べてホッとするような心のこもったカクテルをお出ししたい。まだまだ勉強中です」と熱く語ってくださいました。
1杯のカクテルに情熱ややすらぎを込めて届けるための技を日々磨かれているのだなと感じました。また、そんな思いがあるからこそ、女性が一人で訪れてもリラックスしてカクテルを楽しむことができる空間であるのでしょう。
京都の夜、ちょっと1杯…そんな気分のとき、鴨川を渡る風にふかれてモヒートを味わってみてはいかがですか。
 
 
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