宇治の玄関口、京阪宇治駅前のちょうど宇治川にかかる宇治橋の東詰にあたる場所に、平安末期、永暦元年(西暦1160年)創業の通圓茶屋はあります。茶どころ宇治の名だたるお茶屋さんのなかで、いちばんの老舗という通圓の歴史と茶房のオススメデザートを紹介します。
創業者は源頼政の家臣・古川右内(ふるかわ うない)という武士が隠居の際、頼政の「政」の一字を賜って「太敬庵通圓政久(たいけいあんつうえんまさひさ)」と名乗り、宇治橋東詰に庵(いおり)を結んだと伝えられています。その後、代々通圓の姓を名乗り、宇治橋の橋守(守護職)として橋の長久祈願と旅人の無病息災を願い、往来する人々に茶をふるまうようになったそうです。また、秀吉の時代にあっては、伏見城中での茶会に、当時「天下の名水」の誉れ高い宇治川の水を茶の湯の水に用いるよう命じられ、10代通圓・11代通圓が宇治川の水を汲み上げ伏見城に献納しています。現在では「 名水汲み上げの儀」として、毎年10月第1日曜日の「宇治茶まつり」に古式ゆかしく執り行われています。
このように通圓の歴史をひもとくと、源頼政に始まり、一休和尚、足利義政、豊臣秀吉、徳川家康など歴史上の有名な人物がこの茶屋で茶を楽しんでいることがわかります。お茶の伝統と文化を守り続けている、 850年という長い歴史の重みを感じずにはおれません。
通圓茶屋の茶房では抹茶デザートや茶そばなど、挽きたてのお茶を使った、香り豊かなメニューが揃っています。なかでもオススメなのは抹茶ぜんざい。今回紹介するのは、茶団子が添えられた「さわらびセット」です。
抹茶ぜんざいは、温めた丹波大納言のあんと白玉を入れた器に、点てたお抹茶を注いで作ります。とろり濃厚なおなじみのぜんざいとは違う、新鮮な味わいが印象的です。ふわっと抹茶の香りが立ちのぼり、さらりとした口あたりに抹茶の苦みが後口をさわやかにします。人肌に温められたあずきあんを崩しながらいただくと、上品な甘みが抹茶の風味に溶け合って、おいしさが一段と膨らみます。そしてセットになっている宇治の名物の茶団子。ひとくちに茶団子といってもお店ごとに自慢の味わいがあり、ここ通圓の茶団子は甘さを抑えた餅の独特の食感と抹茶の香りが引き立つ味わいです。 |