初詣に毎年大勢の人が訪れる京都・八坂神社の本殿南門に接したところに「二軒茶屋 中村楼」があります。創業は室町末期といわれ、時代の移り変わりにあっても京都の町衆に愛され続けている老舗です。「二軒茶屋 中村楼」のお名前の由来や名物祇園豆腐など、歴史と京都の食文化にも触れる興味深いお話をうかがいました。
八坂神社は、平安時代以前から信仰や文化の中心にあって京都の人々に親しまれ、多くの参詣者でにぎわっていたといいます。参詣に訪れた人々が「ちょっと一服できるお茶屋を」と構えられたのが中村楼の始まりです。「二軒茶屋」の名前は、かつては参道をはさんで向かいにも一軒お茶屋さんがあったことから、そう呼ばれるようになったのだそうです。今では、名前にその名残をみせるだけとなってしまいましたが、「二軒茶屋」という呼び名は、京都の古い手まり歌などにも歌われ、当時よりこの界隈がにぎわいをみせていたことがうかがえます。
京都ではお正月のお雑煮を白味噌で祝うのが定番。白味噌はかつてお砂糖がとても貴重なものだったので、白味噌の甘みで代用したということです。豆腐に白味噌を塗って焼いた「祇園豆腐」は、甘みを楽しむちょっと贅沢な食べ物だったのですね。また、祇園豆腐は店頭で女性が豆腐を切り、竹串に刺してあぶっていたのですが、豆腐を切る早業が人々の注目を集め、ときには三味線と合わせた曲切りのパフォーマンスを行い、評判になっていったそうです。
こうした歴史を受けて「田楽弁当」は、豆腐切りのパフォーマンスで使っていた田楽箱を器に、京都の懐かしい甘みである白味噌に木の芽を合わせた鮮烈な風味の味噌を塗って焼いた祇園豆腐が詰められ、料亭の味を手軽に食べてもらおうと考案されたのだそうです。
冬の田楽弁当に添えられるのは、紅白生麩と小いもにからしを添え、京みぶなを散らした、白味噌仕立ての汁物です。ご飯は季節によって替わります。
◎田楽弁当3,600円(税込)、AM11:00〜PM2:00。 |