今回ご紹介するのは、明治4年創業、京都で蕎麦ボーロをはじめ、焼き菓子などを作る「石田老舗」がプロデュースする「クレーム デ ラ クレーム」です。石田老舗では、先代のころから持ち続けた夢、「シュークリームの専門の店」を、印象に残る平成11年11月11日11時11分にオープンさせ、実現されたのです。店名は直訳すると「クリーム中のクリーム」という意味なんだそうです。さらにフランスではcremeを使った慣用句で「最高」という意味にも使われることから、「最高のシュークリーム専門店を目指す」の意味を込めて名付けられました。
地下鉄烏丸(からすま)線・丸太町駅を出てすぐにあるお店は、カスタードクリームのような甘くて優しいイメージの黄色が印象的な外装です。大きなガラス扉を開けると、2階までの吹き抜けで、解放的な空間。1階はショップで、ショーケースにはバラエティー豊かなシュークリームが色とりどりに並んでいます。シュークリームの種類がこんなに! と驚きました。「どれにしようかな」と選ぶのもとても楽しい気分になりますね。奥にファクトリーがあり、菓子職人たちが、お菓子を作っている様子がガラス越しに見えるのも、「食べてみたい!」という衝動(?)が駆り立てられます。そんなときは、2階のカフェコーナーに。1階に並ぶお好みのシュークリームとドリンク類をその場で味わうことができます。天窓からの自然の光が優しく差し込んで、親子連れや、観光客の方がティータイムを楽しんでおられます。

クレーム デ ラ クレームには、京都らしいシュークリームがあると聞き、店長の早嵜さんにお話をうかがいました。新商品を企画開発するなかで、『伝統のある京都というイメージをシュークリームに表現する』という発想が生まれました。そして考えられたのが、京野菜を材料にするということでした。さまざまな京野菜を試されたようです。
「九条ネギはおいしい食材ですが、クリームには合いませんでしたね」と苦笑いする早嵜店長。さらに、「茄子も試行錯誤がありました。生で食べても茄子自体に個性的な味はありませんからね。味噌や醤油など調味料で味付けをして個性が生きてくる食材です。どうしようと…。そしてたどり着いたのがこの商品です」と、早嵜店長は「賀茂なす」のシュークリームを勧めてくださいました。
シュー(皮)の部分もほのかに茄子を感じる色み。口に運ぶと、カスタードクリームの味わいにさっぱりとした「焼き茄子」の風味が残ります。しっとり甘いカスタードと賀茂茄子がとてもマッチしています。
「賀茂茄子は270度のオーブンでこんがり焼いてから、自家製のだしにつけ込んで煮ています。さらに水分を絞り、ミルクと合わせてミキサーにかけたものでカスタードを作っているんです」と、話してくださいました。手間ひまをかけた行程に驚かされました。
クレーム デ ラ クレームの京野菜のシュークリームには定番の白味噌を始め、聖護院かぶら、京にんじん、やまいも、堀川ごぼう、壬生菜、京たけのこ、丹波黒豆など14種類あります。素材の野菜が旬の季節を迎えるころ、丹誠込めて下ごしらえされ、シュークリームとして店頭に並びます。 9月になると鹿ヶ谷かぼちゃ、紫ずきん、丹波栗、万願寺とうがらし(赤)を素材にした秋バージョンのシュークリームにバトンタッチ。それぞれの旬の味わいたっぷりのシュークリームをぜひお楽しみください。
オープンは、1997年4月1日。今年13年目のお店です。「ミシュランガイド 京都・大阪 2010」で星を獲得したお店としても有名ですが、京都の食通の間では、四季の恵みを大胆に、けれど繊細にお皿に表現する料理をいただけると、根強い人気のあるお店です。
ここは、左京区、白川今出川通りを東にのびる銀閣寺道のかかり、観光客でにぎわう疎水沿いの道。「おくどはんの御飯に炭火の肴と山野草を添えて」と書かれた木札が掛かり、軒下には野に咲く可憐な花が生けられた素朴な佇まいのお店が、「草喰なかひがし」です。
店主の中東さんは毎朝、お店で使う山野草やあしらいの花などを摘みに京都、美山の里山に出かけます。里山を所有されている方々にも助けてもらいながら、山野草をお店でお客様に提供できるだけの量を確保するのだそうです。
足下に生きている草もおいしく、食べ尽くすというのが中東さんの姿勢。自然の中で生育する山野草では、味わいも個性的で生命力にあふれています。その素材は中東さんの感性で、洗練された料理へと整えられていくのです。

野趣に富み、四季の恵みあふれる料理を提供するお店ですが、「メイン料理は、メザシの炭焼きとおくどさんで炊く御飯です。御飯の炊ける間に、この厨房を使ってできる料理を食べてもらう。料理は、メザシと御飯ができるまでのつなぎ!」と中東さんはおっしゃいます。 「ちょっと見て」と、炊きたての御飯をよそってくださいました。御飯の状態はどんどん変化していくのだそうですが、この状態が、お米が水を吸ってちょうど煮えて御飯になったたところ、煮花(にえばな)と言うのだそうです。さらに、しばらく蒸らしてふっくらしたもの、最後はパリパリと香ばしいおこげ。見事に食感を変化させ、味わいもゆたかな御飯が味わえます。
これは、秋の八寸です。秋、夜空に浮かぶお月様が美しい季節。仲秋の名月、十五夜は別名芋名月とも呼ばれます。その名月にちなんだ秋の味覚の八寸が供されました。 早朝に収穫したという大きなずいきの葉の上に、丹精込めた料理が並びます。さんまの薫製、みょうがに蘇(そ)を挟んだもの。蘇とは、古代より日本でつくられている乳製品なんだそうです。そして、栗の素揚げ、香茸(こうたけ)の素揚げ、とうもろこしを寒天で固めたもの、無花果と枝豆のきな粉酢、小いもの煮物、サッと油で揚げて白い花を咲かせたような稲穂が添えられています。
いよいよメインのひとつ、御飯です。今日は「松茸ごはん」。ふたを開けると、松茸とゆずとあぶったカラスミが炊きたての御飯の熱でいい感じに香り立ちます。ひと口頬ばると、うまみいっぱいのカラスミの塩気とパラリとかけられた粒だちの大きな岩塩のシャリっとした歯ごたえと塩気が新しい感覚。2種類の塩味でいただく松茸はびっくりするほどおいしく、シンプルなのにとても深い味わいです。
「草喰」という言葉に、食材を調達する人、作る人、食べる人、すべてに思いを至らせ感謝する気持ちを思いました。けれど、堅苦しくはなく、幸せな感覚です。
「いただきます」「ご馳走さまでした」の言葉もいつもと違って自分の心に響いたように感じました。







