株式会社宇治田原製茶場 月刊 茶の間
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京の食 春・夏・秋・冬と京都のおいしいお店を紹介します。 2010春

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「渡月亭別館 松風閣」

京都市西京区嵐山中尾下町54-4  TEL (075)871-1310 営業時間:11:00〜19:00 (L.O.) URL:http://www.togetsutei.co.jp/ 定休日:不定休

京都の四季がそのまま
竹かごに表現されたお弁当

すぐそこまで春が来たとは言え、桜のつぼみはまだ固い頃、大堰川(桂川)右岸の嵐山公園にたたずむ、渡月亭別館松風閣を訪れ、評判の「竹弁当」を味わう、今日の日を楽しみにしていました。

「おこしやす」と迎えられ、一服のお茶でほっこりしていると、丸い竹かごが運ばれてきました。
竹かごの蓋を開けると、目を奪われる色とりどりの華やかなお料理。あしらいの桜のつぼみは、今にもほどけそうで、なんと可憐なことでしょう。思わず笑みがこぼれます。
ほんのり生姜の香りのする海老、蟹の真蒸、筍の木の芽和え、桜色の長芋、京湯葉の田楽、鰆の木の芽焼、菜の花を鮭の薫製で巻いたもの、本鮪と桜鯛の造り、飯蛸の桜煮など、盛りだくさんに16種類の料理が、盛り付けられています。
どれを食べようかと、迷ってしまうのですが、最初に筍の木の芽和えをいただくことにしました。木の芽の香りと、白味噌の甘み、筍の歯触りが「春やなぁ…」と嬉しく感じられます。その他のお料理もしっかりと味わい、春づくしのお弁当を満喫することができました。
どれも素材の味を損なうことなく、丁寧に下ごしらえし、調理されているのが伝わります。「食材は国産のものを用い、季節感を大切にしています。月替わりですが、全部をガラリとは替えないんです。笹巻麩(麩饅頭)や京湯葉など、京都らしいものは、ぜひ召し上がっていただきたいので、定番の献立にしています。」と4代目の若主人古川さんはおっしゃいました。

一期一会を心に秘めて、さりげなくもてなす。

創業は明治30年、今年で113年目を迎える渡月亭。
「長い歴史を刻んでこられたのも、お客さまとの一期一会に尽くしてきたからだと思います」と若主人。今日から渡月亭で働くことになったスタッフには、難解な社是社訓でなく、「渡月亭を訪れたお客さま一人ひとりに対して、自分のおうちに招いたお客さまだと思ってもてなすこと」と伝えているそうです。それは直接お客さまと接する給仕スタッフだけでなく、厨房はもちろん、お掃除のスタッフなど、全員がそれぞれの持ち場で「一期一会」を顕わすことだそうです。
この「今日の出合い」を大事にする心が、「嵐山の桜を見て、渡月亭でお食事をする」ことを毎年楽しみにされるお客さまとの縁を紡いでこられたのでしょう。

もうひとつ、お客さまに喜んでいただいているものがあります。それは、座敷から望む見事な眺めです。大堰川(桂川)の流れ、一ノ井堰の白い水しぶきをバックに嵐山公園に咲き誇る満開の桜…、そんな絶景を愛でながら、心づくしのお料理を味わっていただけます。
桜が満開になる頃に、ぜひお立ち寄りになって、座敷からの景観と京料理の粋を集めた「竹弁当」を楽しまれてはいかがでしょうか。

「エヴァンタイユ」

京都市左京区岩倉西五田町1-2
 TEL (075)712-0750
営業時間:昼11:30〜14:00(L.O.) 
夜17:30〜20:30(L.O.)
URL: http://www.eventail.jp/
定休日:毎週月曜日・第1・第3火曜日
*いずれも祝日の場合は営業
*第1・第3火曜日 予約のみ営業

作り手の顔が見える 地の野菜などの食材をふんだんに。

1984年東山二条にオープンした後、1995年3月に、京都の北、国際会館にほど近い閑静な住宅街、岩倉に引越。オープンから26年間、作り手の顔の見える食材にこだわってフランス料理を提供しておられます。

今回作ってくださったのは、「いのししと冬の根菜のブレゼ」というディナーコースのメイン料理。ブレゼとはフランス料理の調理法のひとつで、蒸すという意味。ですが、「蒸籠で蒸す」のではなく、素材を炒めて焼き色をつけ、少量のスープで蒸し煮にするのだそうです。
ルタバカ(西洋蕪)、さつまいも、黒大根、椎茸、西洋人参、金時人参、ブロッコリー、里芋、しめじ、エリンギ、かつお菜、赤根ネギ、牛蒡、生姜、カブ、なんと15種類の地野菜と、臭みがまったくなく、程良い弾力のある若い猪肉で作った、野趣に富んだブレゼです。それぞれの野菜の個性が溶け合う甘い香りと胡椒を効かせた味わいは、お皿に残った煮汁までパンを浸して食べてしまうほどの美味しさでした。

「この料理には、ボルドー地方で作られているカベルネフランを多く使ったワインが合うんじゃないかな」とシェフの森谷さん。

春は、新たまねぎ、新キャベツ、たけのこ、蕗のとうなどの柔らかくて初々しい春野菜を使った料理や、亀岡産の霜降り豚や「のどぐろ」を使った料理などが登場します。
メニューはその日の仕入れで替わるとのことです。事前にお電話で確認されるか、予約の際に好みをお伝えされることをおすすめします。

料理とともに自分たちの時間を楽しんで。

「本場のフランスでは食事にもっと時間をかけます。ですから、お客さまにも料理やワインを味わいながら、ゆったりとリラックスしていただきたいです。ここでは日々の雑事を忘れて会話も楽しんでください」と森谷さんはおっしゃいます。

エヴァンタイユには夕刻のやわらかな日差しが、テーブルにセットされたワイングラスやカトラリーに反射してキラキラしています。今日はこの席に座るのはどんな方なのでしょう。森谷さんの作る料理におなかも心も満たされ、会話もなめらかに弾みそうです。
そんな特別な時間をここに訪れたお客さまは過ごされています。