[ 茶育NOW ]
グランフロント大阪で昨年開催された「こいまろカフェイベント」の一環として開かれた『親子お茶育講座』に、ご家族のみなさんといっしょに参加した谷村優斗(ゆうと)君。ふだんの生活では、市販のペットボトルのお茶を飲むことが当たり前のようになっています。ところが今回、急須に茶葉を適量いれて、美味しくいただくための適温の湯をそそいで淹れる『急須茶』体験は、自分の手で淹れるという、とても新鮮な体験だったと言います。
「湯の温度、それからお茶の葉っぱと湯の量など、いろいろ考えないといけないんです。それをお父さんの分、お母さんの分、自分の分と湯呑に分けていれるのも、ちゃんとしないと濃いお茶と薄いお茶になっちゃうしね。みんなの好みも違うので、そこまでも気をつけてやらないといけないし、結構いろいろむずかしかったなあ。でも、おもしろかった」
真剣なまなざしで、ていねいに急須茶をいれる優斗君。湯呑は、おばあちゃん手づくりの器。道具に対する見方も変わってくるようです。はじめは「ちょっとにがいなあ」と感じたそうですが、今では「美味しい」と言います。
今の子どもたちにとっては急須に茶葉をいれてお湯をそそいで淹れる『急須茶』は、やはり、特別で新鮮な体験になるのでしょう。茶葉と湯量のちょっとしたバランスで味が変わるため、湯呑にそそぎいれるタイミングも考えないといけません。そうすることで、自分以外の人に喜んでもらえる一服のお茶をいれることができるのです。そうした「おもてなしの心」の一端を知ることができるのかもしれません。
さて、ふだんの暮らしの中で『お茶育教室』の体験は、どのように活かされているのでしょうか。お母さんの早和子(さわこ)さんにうかがってみました。
「茶葉という素材があり、それをいったん器にいれて熱い湯をそそぎいれ、適度な時間をはかって湯呑にいれますね。基本は、お料理と同じなんです。美味しくはいったらうれしいし、おいしいよと声がかえってくるともっとうれしい。ただ単純にそれだけかもしれませんが、家族の会話も深まり、広がっていきますね」
グランフロント大阪『こいまろカフェ』で開催された『お茶育教室』には、たくさんのご家族の方々が参加されました。子どもたちの中には、はじめて急須を手に持ったというお子さんもいました。ていねいに心をこめて急須でいれた新茶の味わい、その美味しさも感じていただけました。これからも、こうした暮らしの基本に根差した、「小さな学びの輪」を通じて急須茶の素晴らしさをもっともっと広げていきたいと願っています。